「失礼しました~」
職員室独特の空気から逃げるようにして、重いドアをしめた。
「もぉ…あの先生いちいち職員室に呼ぶから嫌なんだよねぇ…。だから彼氏出来ないんだよ」
「はははっ…」
隣の麻耶はダルそうな顔をしながら、先生の愚痴をこぼしていた。
「雛~…もう外真っ暗じゃん」
「あぁ…ほんとだぁ」
そんな麻耶の言葉で、窓の外に目をやると辺りは真っ暗になっていた。
「あぁ~、帰りの道怖いかも」
家までも道のりは決して遠いわけではないけど、途中は人通りが少ないせいで最近変質者が出るんだとか。
こんなに真っ暗だったら……。
頭の中で想像しただけで、ひんやりと寒くなった。



