その隣で、黙って手を引かれている隼人は、心なしか少しやつれたみたい。
そりゃぁねぇー…、モテモテでしたもんねぇ。
いつの間にか、私の中に芽生えた悪魔みたいな存在が大きくなっていっている。
私……こんなに嫉妬深かったっけ?
「雛ちゃん♪隼人くん連れてきたよ!……今度何かおごってね」
………。
さっきまで神様、仏様に見えていた響くんは、一気にお代官様と化した。
なんだったんだ…。
さっきの天使の様な笑みは……。
なんなんだ……。
今の悪魔のような微笑は………。
「はぁ~…、よかったじゃん。…っあ、自己紹介遅れたね。私、ひなの友達の麻耶。よろしいくね、隼人くん」
「はぁ…、よろしく」
すっかり魂が抜けてしまっているみたいで、宙をボーっとみている隼人に麻耶のこめかみ辺りがピクリ…と動いたのを見逃さなかった。
麻耶……、さっき山中さんに何か言われてたからイライラしてるみたい…。
関らないようにしよ。
これは、友達としての勘………といいますか。
イライラしている麻耶に何か言うと、ろくな事がない…というね。



