「……か……ょだよ」



隼人は、聞こえるか聞こえないかの小さな声で答えたため、誰一人と聞こえた人はいなかった。



でも、自分の中ではすっかり言ってしまったとおもっている隼人は、机に顔を埋めている。



その耳が、真っ赤だったのをクラスの女子は見逃さなかった。



これじゃ、バレバレだね。



「やっぱり付き合ってるんだぁ……」



わざと大きな声で言いながらこっちを射抜くような目で見ているのは、人の彼氏を取る……と噂の山中(やまなか)さん。



「うわっ、やな奴」


そう小さく…だけど山中さんに聞こえるように呟いた麻耶。


麻耶は昔、彼氏を山中さんに取られたらしく……なんていうのかな?


犬猿の仲って奴。


山中さんの視線は私の横にいる麻耶とぶつかり、火花を散られた。



そんな二人の無言の戦いを気に留めず、私の頭の中はある考えでいっぱいだった。



もしかして……、もしかしてだよ?


次のターゲットが隼人だったり……しないよね?



だって…、明らかに胸を隼人の背中にくっつけてるし……。


長くてサラサラの髪の毛も耳にかけて…、なんだか女の私から見てもセクシーだし。



隼人も男だもん…。


ムラムラ……なんてしちゃってるんじゃ。



そんな考えばかりが加速していくのをもう誰にも止められなかった。