麻耶の彼氏。
私が会ったこともない。
私と麻耶は、高校で知り合って仲良くなった。
そんな麻耶は、中学生の時に一生忘れることのない大恋愛をしたんだ。
迭真(てつま)くん……それが写真の中の人の名前。
とにかく優しくって、面白くって……麻耶のかけがえのない存在だった。
だけど、彼は麻耶をおいて先に天国に行っちゃったんだ。
麻耶は穏やかな顔……っていうのかな?
そういう風な優しい顔をして、時折遠くを見て、その人の事を想いながら話してくれた。
どうして迭真くんが亡くなったのか、私は知らない。
聞こうとも思わない。
だって、麻耶の大切な思い出だもん。
だから、麻耶の胸にそっとしまっておいてほしい……。
麻耶はいつも私の幸せを考えてくれる。
麻耶は彼氏を作っては別れ、作っては別れ……を繰り返している。
それは、まだ麻耶が迭真くんを好きだから。
だから、私は麻耶に無理しないでほしいんだ。



