「じゃっ、俺は帰るから~!アスによろしくな」
全開に開いた車の窓から、つよ君の顔が覗く。
「はーい。ありがとうございましたっ」
そんな感じでお礼を言うと、つよ君は二カっと笑って何処かへ行ってしまった。
走り去る車を見えなくなるまで見送った。
相変わらず寒い風が吹き抜ける。
寒い風から身を守ろうと、マフラーに首を埋めながら、麻耶の家のインターホンを押した。
――――ピーンポーン…
………?
いつもならすぐに出てくる麻耶が、今日は何故か出てこない。
――――ピーンポーン…
二回目のインターホン。
それでもまだ出てこない。
なんだか、嫌な予感がする…。
もう3,4回インターホンを押した。
耳をすませて中から音がしないか聞いてみるけど、扉の向こうからは、ぜんぜん音がしない。
嫌な考えばかりが頭の中を覆っていく。
だって、さっきの電話まで元気だったし…、でも、何かあったのかもしれない…。
不安になった私は、鞄の中からゴソゴソとケータイを取り出そうとした。
だけど、掃除が出来ない私の鞄の中は、なんていうか……まるでジャングルだったから、ケータイを出すのにも一苦労。
やっと出せたと思ったら、待ち受け画面にメール受信のマーク。
まさか……麻耶からの遺書!?



