車のドアを開けると、中で渦巻いていた煙が外に向かってモワンとなる。


苦手なタバコの煙が勢い良く顔にぶつかった。


その強烈な匂いに耐え切れなくて、思わず涙目なった。


「ごほっ……」


「あっ、ごめん。タバコ苦手?」


「あっ。はい……」


「じゃぁ換気するわ」


つよ君はそう言って、窓を開けた。


暖かい車内とは違う、外の寒い空気が一気に流れ込んできた。


あまりの寒さにブルッっと身震い。


「さみぃ~、うおぉぉ」


つよ君はというと、そんな奇声を発しながら自分の体を抱きしめていた。


「雛ちゃん、大丈夫?」




つよ君は歯をガチガチさせながらも、優しく私に話しかけてくれるんだけど、やっぱり苦手。


だって………だってさぁ~


「でもさ、いつも思うんだけどさぁ~雛ちゃん……可愛いよねぇ~」



つよ君がこんな事を言う人だから。