ゆっくりとつよ君の乗っている車に近づく。



今年買ったばかりの少しかかとの高いブーツの音が、道路にこだました。




この前から急に気温が下がったため、急いでタンスの奥から引っ張り出した可愛いオレンジと白のしましま模様のマフラーに首を埋め、




寒さでかじかんだ手を口元でハ~っと暖めながら助手席に近づく。



車からは、さっきまで見えていたつよ君の顔が見えない。


その代わり、綺麗だった窓は白く曇っていた。


つよ君が暖房でも付けたんだろう。



私は、そんな曇ったガラスの前まで来て、右手で窓をキュッキュッっと拭いて、中にいるつよ君に笑顔を向けた。



中でタバコを吸っているつよ君は、私の姿に気付くと、急いでタバコを消して窓を開けた。


そして、人懐っこそうな笑顔で「よっ」だって。



こうやって見たらスッゴクいい人なのになぁ――…。