私から話たいけど、今口を開いたら涙が出てしまいそうだ。
だから私は、何も言う事が出来ない。
必死で涙を堪える私。
でも、私の顔を見ていない隼人は、そんな私に気付かずにまた話し出した。
「俺、雛に言ったこと……後悔してた。雛が誰を想っていようが、俺には関係ないのに……。余計な事言ってごめんな。」
隼人は、そう言うと頭を下げた。
隼人が頭を下げる事ないのに……そう思いながらも、口には出せなかった。
その代わり、私はクスッっと笑って言った。
「あれは、隼人の勘違いだったの。」
そういった瞬間、何秒かの間をあけて、隼人が始めて目を合わせた。
そのキャラメル色の瞳は、大きく開かれていて、信じられない…といった表情だった。



