『あの』
まるで何かのドラマのシーンみたいにピッタリ重なった。
勇気を出していってみたものの、今ので何を言うのかスッカリ忘れてしまったみたい……。
隼人も、なんだか目が泳ぎまくってるし。
やっと会えたのに…。
勇気が出ない。
そんな私が嫌になり、小さく唇を噛んだ。
すると、
「今日さ……」
隼人が私の足元を見ながら呟いた。
「今日、この海に来たら雛に会える気がしたんだ。」
「私も……私も、今日ココに来たら隼人に会える気がしたの。」
久しぶりに見れた隼人の顔。
その安心感からか、目の奥から熱い物がジワジワと出てくるのが分かった。



