大好きだった先輩の声が耳に届くのと同時に
強い力によって、後ろに引っ張られた。
掴まれた腕は痛いのに、引っ張られた衝動で倒れそうになった体を包むものは優しい。
「先輩……?」
抱きしめていたのは、先輩。
大人の男を感じさせる香りが、鼻に強く届いた。
抱きしめるガッチリとした腕は小さな震えが伝わってくる。
「ひな……ひな…!!」
何度も何度も、私を呼ぶ先輩の震えた声。
自分の弱い所を見せない、プライドの高かった先輩。
そんな先輩が、今はとても壊れてしまいそう…。
思わず揺らいでしまいそうになった心をキュっと引き締めた。



