残った私と先輩。




先輩は、「ここじゃなんだから着いて来て」というと何処かへと足を進め始めた。



先輩は、なんにも変わってない。


私の大好きだった大人っぽい香水の香り。



綺麗にセットされた茶色の髪。



ポケットに手を入れる癖。


そして、大きな後姿。





先輩は変わってない。


歩調を合わせてくれないところも、何もかも。


もう、先輩を追いかけるのは疲れちゃったんだ。



このまま、置いて行って……そう思うのに




「雛?ごめん、早く歩きすぎたみたい」



そう言って私を待ってくれる。