有野の後を黙って着いて行くと、冬の冷たい風が通り抜ける屋上に出た。
「あっ、あのね?」
少し声が裏返りながらも、俺に声をかけた有野。
有野は、緊張からか目が泳ぎまくっている。
それに、何か言おうとしても、口から言葉が出ないらしくて、さっきから口を開けたり閉めたりの繰り返し。
そのままの状態で、何分も時間が過ぎていく。
あ~、早く奈美と帰りたいんだけどなぁ…………。
ついつい、そんな事を思ってしまい、無意識に貧乏揺すりをしてしまっていた。
「有野?話ってなに?」
これじゃ、らちがあかない……そう思った俺は、自分から聞いてみた。
何言うかは分かってんだけどな……?



