綺麗なものが大好き。

だけど、汚いものは大嫌い。


ホコリを吸うとくしゃみが出ちゃう。


だから、部屋はいつでもピッカピカ。


私の好きなもの。


白木藍くんという男の子。


家が隣同士で、いつも一緒に遊んでくれた。


まるで、神様が特別に端正込めて作ったかのような、一つの歪みもない、美しい顔立ちで、

肌は透き通るように白く、

髪はいつでも艶やかな黒。


綺麗すぎる藍くんは、いつでも女の子にモテモテで、近所で評判の男の子。


「桐ちゃん、どうして泣いてるの?」


そして、

とっても優しい男の子。


「うっ…ひっく、…あのね、あのね、」

「なに?僕に言ってみて?僕にできることなら何でもするから」

「本当に…?」

「うん、桐ちゃんのためなら、僕は何でもするよ」

「えっとね、えっとね…」



ねえ、藍くん。

君はなんて美しいんだろうね。

私は、そんな美しい君が、
とっても大好きなの。

だからね、

私はね、



「…藍くん…私の家の家宝になって…」

「え、」

「あのね、藍くんのこと綺麗にガラスケースにいれてあげるからね、私のおうちに来て」

「あー、えっと、ちょっと、難しいかなぁ…」

「桐ね…桐ね…毎年クリスマスプレゼントは藍くんがいいってお願いしてるの。
でも、今年もヴィ◯ンの鞄でね…まじいらないの…ママがいつか使うからって言うんだけどね…」

「いや、ヴィ◯ンのバックって、すんごい高いやつじゃん。ダメだよそんな事言っちゃ。いろんな人を敵に回しちゃうよ」

「桐は藍くんがほしいの‼‼うわああーーーーん‼」



私は綺麗なものが大好き。

パパやママは私にたくさんの綺麗なものをくれて、とっても嬉しいけれど、

私の一番欲しいものはなかなか手に入らない。



「桐ちゃん…」


そのとき、

君はいつも首にかけているロザリオのネックレスを私にかけてくれたよね。


そうして、
こう言ったんだよ。



「これ、お母さんがくれたお守り。
まだ僕たちは小さいから、僕は桐ちゃんのものにはなれないけどね、

大きくなったら、僕は桐ちゃんのものになるよ。
だから、その時は、桐ちゃんも僕のものになってね。

約束だよ?」



あれから、藍くんは、引っ越してしまって。
私達は中学まで会うことはなかった。


そして、


高校に上がったとき、

私達は再会しました。



それはそれは最悪な形で。