ねぇ、あんたの友達は、



 あんたより、命の方が大切なんだって。



 心の中で笑った。



 あいつを、友人たちを。



 そして、次の日から、



 彼女の見方をするものは



 誰一人としていなかった。



 それでも、一人になっても、



 彼女は、学校を休むことは一向になかった。



 12月5日。



 私は、学校の帰り、彼女の後を付いていった。



 そして、ちょうど信号待ちの時、



 大きなトラックが来た時。



 彼女の背中を、道路に向かって押した。



 『由実ちゃん・・・・?』



 キキーッ!!!!



 私の名前を最後に、彼女は、



 トラックに引かれ、死んだ。



だれも、私が押したなんて思わない。



 死因は、交通事故で片付けられた。



 不思議なことに、



 罪悪感なんて、生まれなかった。



 ただ感じたのは、達成感。



 やっと、やっと一番になれた。



 そう思う方が大きかった。



 そして、遥香の葬式。



 みんながよばれた。



 大人は、誰も遥香が



 いじめられていたなんて知らなかった。



 みんな、いじめていたのに、泣いていた。



 そして、私は、下を向き、



 ただ、ただ笑っていた。