教室の前まで来てみたら、久しぶりにいつも馴れ馴れしい俺の嫌いな女子の姿がなく、かわりに教室が騒がしかった

なんか嫌な予感しよるけど…
入らんことには始まらんしな

ガラガラ…

「なに騒いどるん?」

クラス中の視線が俺のほうに向く

「え?なんや?」

教室の真ん中で今にも泣きそうな顔しとる誰かさんを見つけた

「あの…桜木くん…これ、ホント?」

スマホの画面をこっちに向けながら明らかに媚びたような声でクラスのリーダー的な女子…
乙川やったかな…が俺に歩みよってきよった

その画面には俺と西島が一緒に帰ってる写真が写っとった

あー、そういうことやったん…

そして気づいたら言っとった

「ホントや…俺ら付き合っとるさかい、こんなの普通やないの?」

教室入ってきたときとおんなじようにクラス中の視線が降り注ぐ

あんまいい気せえへんな

「なっ…!」

なにか言おうとしとる西島の口を軽く押さえ、『話し合わせてや』と視線で送る

「そうやな?に…結衣?」

これはわざと
名前で呼んでみた

西島はこれにも相当驚いたらしいが渋々と言った感じで

「う、ん…そう…だよ」

とぎこちないが言うてくれはった
そんあと、めちゃくちゃ睨まれたけど…