馬小屋に入ると、馬独特の匂いと干し草の匂いが鼻をついた。


こんなの慣れっこ、なんて思いながら中へ進む。


案の定まだみんなは来ていない。


少し進み、私は真っ白な馬の前で立ち止まった。


「ユキ、おはよう。今日はお前と行く任務がある。頼んだぞ」


ポンポンと私の愛馬の頭を撫でる。


「ブルルルル…」とユキは嬉しそうに鼻を鳴らし、尻尾を振った。


「ハァァァナァァァァァ、おはよおぉぉぉ!!」


入り口から元気な声が聞こえたかと思ったら、手に小刀を持ったルイが走ってきていた。


その後ろを頑張ってついてきているのはメイ。


ルイの馬の名前はハナ。


名前の通り、体の毛は黒色なのに、鼻だけ白色なのだ。


「ミーシャ、おはよう」


メイの馬の名前の由来は……わからない。


多分メイがよく読んでいる本の登場人物の名前だろう。


「お、みんな揃っとるやん!」


「私たちが最後みたいね」


フィーレとサキが並んでこっちに来た。


フィーレの馬は、赤毛に近い毛色をしている。


『あたいの髪の毛に似てるから、この子がええ!』


なんて言っていたのを思い出す。


「フィー、元気やったか?」


名前も自分のものからとったらしい。


「サナ、おはよう」


サキの馬は、艶のある黒毛と茶毛をしている。


私とサキの髪の毛と同じ色だから、名前は二人の頭文字を取り、サナにしたらしい。


それを聞いた時、不覚にもニヤけてしまった。


『ナギ、気持ち悪い』なんてサキに言われたのを覚えている。