「ナギ、どうするの!?」
「どうするもこうするも、倒すしかねぇ!
これが私たちの任務だ!」
私はそう叫びながらグッと力強く地面を蹴り上げ、宙へ飛び上がる。
「はぁぁぁっ!」
空中でグッと剣を握り、マッドネスウルフの脳天を狙い、一気に落ちる。
グサッ_______
剣はそのままマッドネスウルフの脳天に落ち、10センチほど刺さった。
「ちっ」
私は急いで剣を抜き、地面に戻って距離を取る。
マッドネスウルフの頭からツーッと血が垂れる。
それを長い舌で舐めたマッドネスウルフ。
それを固唾を呑んで見つめる。
サキは弓を引く手に力を入れ、ゴクッと生唾を飲んだ。
ザッ、ザッと地面を引っ掻き、ギラギラ光る目でこちらを見据える。
その時、その目の奥で何かが光った。
『くる…!』
そう悟った次の瞬間、目の前に炎が迫っていた。
「くっ…!」
慌てて地面を蹴って避けるが、炎は足を掠った。
そのせいで、地面へ着地するときバランスを崩し、尻餅をついてしまった。
「ナギ!大丈夫!?」
炎に狙われていたのは私だけだったみたいで、サキは無事のようだ。
「あぁ、なんとか。
サキ、怪我はないか?」
「え、えぇ…私は大丈夫だけど…。
ナギ、あなた足から血が出てるわ」
遠くからでもわかるくらいに、サキは眉を下げた。
「これくらい…なんてことない」
私は剣を支えにしながら立ち上がる。
ズキっと鈍い痛みが走ったが、反対側の足に体重をかけて立った。
《 グルルルルル… 》
低い唸り声が耳に響く。
マッドネスウルフの目が赤くギラつき始めていた。
あれは興奮状態になった証拠。
こうなった魔物は、魔法が使いない私たちにとってとても厄介だ。
「ナギ!もう逃げましょう!
所長も話せば分かってくれるわ!」
「私は絶対に逃げない!
サキ達はモンバスに帰って援護を頼んできてくれ!」
「何を言ってるの!ここからモンバスなんて、馬をとばしたって往復で10分はかかるわ!
それまで持つわけないわよ!」
「いいから早く!怪我人が出ないうちに!」
「ならナギも一緒に!」
「リーダーの命令が聞けないっていうのか!」
思わずカッとなって強く言ってしまう。



