「ひぇー、魔物の気配がプンプンやな〜」


言葉とは裏腹に目をキラキラ輝かせながら辺りを見回すフィーレ。


「…ひっ、ちょ、くすぐったっ……、ルイ、やめなさい!」


「いひひひひひひひ」


その脇ではルイが草を操り、メイの頬をくすぐっている。


「早く行くよ。雨が降る前に帰るんだ」


双子を見てそう言うと、「は〜い」とルイがつまんなそうに返事をした。


「もう!仕事中にふざけないでよね!」


その横でメイはプンスカ怒っている。


「みんな、魔物よ!」


一足先に草原の中に入っていたサキが叫んだ。


私は慌てて剣を抜き、草原に意識を集中させる。


《 ガウッ 》


何かの鳴き声が聞こえたと思ったら、草むらの中から1匹の マッドネスウルフが飛び出してきた。


一番近くにいたサキが、弓を放つ。


それは見事にマッドネスウルフの腹に命中し、《 ヴゥゥゥ… 》という鳴き声とともに灰になって消えていった。


「……今回はあんまり魔力は高くないみたいだな」


私はマッドネスウルフが消えた地面を見ながらぽつりと呟いた。


「えぇ、そうみたいね。でも数が多い」


サキは草原を見据えたまま答える。


「私たちの手にかかれば一発だよ〜!」


ルイが元気よく言ったかと思ったら、トテトテと前に進み出て草原に手をかざした。


メイもそれに続き、ルイの隣に並び草原に手をかざす。