オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

放課後。

掃除のアリスを待とうとしたが、先に行けと押しきられて部室に向かった。

明日、委員会がある分、今日中にキリの良いところまで終わらせないと。


「あっ」

「あっ、鈴木くん……」

扉を開けると、目の前に鈴木くんが立っていた。

「今、出ていくところだったんですか?」

「あ、違うんです。ちょっと、用があって」

鈴木くんの横を通って荷物を置けば、鈴木くんは半開きの戸を閉めた。

そして、私の隣に立つ。

あれ。用があったんじゃないのか?


「用は、星野さんにあるんです」


私の思考に返事するように、鈴木くんは俯いた。

ケントにしかり、私の表情はそんなにも読み取られやすいのだろうか。


「私が何かしましたか?」

「えー、やー。まあ、はい。いや、してないですけど、してるような」

煮え切らない返事に思わず首を傾げる。

鈴木くんが言いづらくなる程、酷いことをしてしまったのだろうか。


もしかしてチャックが開けっ放し……ってことはない。

なら、なぜ?


「そこに置いてあった本、覚えてますか?」

鈴木くんが指を指した先には、何もなかったが覚えてる。

初めてここに入った時には、『君ノ側ニ、イタイ』という本があった。


あの、柔らかいタッチの不思議な物語。

最後までは読めてないんだけど。


「覚えてますよ」

「ええ!?どこまで見ましたか!?」

「えっと、座敷わらしが出てくるまで、ですかね」

途端、鈴木くんは膝から崩れ落ちた。

頭を抱えて「うわー、やらかしたー」と唸っている。


耳まで真っ赤にさせてしまう位に恥ずかしいことなのだろうか?


「あの、でも、最後までは読んでませんよ……?」

「読んだことには変わりないですからー」

泣きべそかきながら、鈴木くんは顔をあげた。

私よりも幾分背丈の大きな男の子が、泣きそうな顔だと少し可笑しく見えてしまう。

いや、この状況だから、必死に笑いを堪えるけど。


「……ごめんなさい」


せめてもの償いとして鈴木くんと同じ目線になるようにしゃがんだ。

コミュ力がないからこんな時にどう慰めれば良いか分からない。

笑顔で飛ばせるほど力もない。


だから、鈴木くんの頭を撫でた。


赤子をあやすように、優しく。

そうすれば、機嫌が良くなるかと思った。