オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

いやいやいや。

ケントの家から学校まで三駅分歩くとは思わなかった。

まさか本当に置いてくはずないだろう。と、たかをくくっていたらまあ、来ない。来ない。


派出所で行き方を聞いて、電車に乗って、迷子になって半泣き状態で学校に着いた時には八時半前。

途中であきらめて諦めて帰ろうと、何度思ったか。

両手で収まりきらないだろう。


普段ギリギリ登校の鈴木くんに「遅いんですね……」と言われる程に遅い登校に、アリスも驚いていた。

「汗だくだけど、大丈夫?」

「……大丈夫……だと思う」

基本引きこもりの私の身体は、少しの運動で死にかけている。

これから一ヶ月、やっていける気がしない。

そもそもここの高校を選んだのだって、徒歩五分圏内だったからで、遠ければ来た意味がない。


糸が切れた操り人形みたいに机に項垂れて数秒後、瞼が落ちた。



次に目を開けた時に、第一に見えたのは白いモノ。

見覚えがある。


「もしかして、天井……?」

「そうですよ」

安定した低い声が、私の視界の外から聞こえてきた。

見なくても相手は分かる。


「……っち」

「舌打ちなんて女性らしくないですね」

外バージョンのケントだ。

でも、外では他人のフリをしろと言ったのに何故ここにいるんだ。

「偶然通りかかったんですよ」

「……あっそ」

私の心を読み取る能力でもあるのか。

気持ち悪いな。


「元気そうで何よりです。この調子なら明日の委員会にも出れそうですね」

「……聞いてないんだけ、ですけど」

外バージョンのケントに合わせて、適当な返事をする。

あーあ、ここをケントのファンに見られたら吊し上げられるだろうな。


地味な下級生のクセに、何で話しかけられてるの!?って。


知らないよ、私だって。

私だって、何でそんなリスクを背負ってまでケントが話しかけてきたのかも分からないんだから。


「今言いましたからね」

「……悪魔」

「お元気そうでなにより。では、失礼します」

完璧なまでの豹変っぷりだが、意地悪な笑みは忘れてない。

私のベッドから離れると、養護教諭と話を盛り上げてから出ていったみたいだ。

そう手当たり次第に八方美人を振り撒くのは止めてくれないかな?


養護教諭に「宮崎くんと仲良いの!?ねぇ!?」って問い詰められたじゃないか。

あー、絶対にアンタに気があるよ。


時計を見れば既に一時間目が終了しようとしている。

まあ、二時間目から出れば良いか。


教諭の話を無視して、もう一度目を閉じた。

今度は自分の意思で意識を飛ばした。