オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

「……じゃあ、行ってきます」

制服に着替えてから、お母さんに手を振った。

けどもお母さんは宮崎さんといちゃこらしてて、見向きもしない。

まあ、仲が良いのは大変良いことだけど。


ーーガチャ。


「あ」

そういえば、学校への行き方分からない。

車でケントの家まで送ってもらったけど、ここが何処かも分からない。

「おい。邪魔だ」

扉を半開き状態で静止する私の肩を叩くのは、ケントだった。

「……何さ。学校にどう行くか考えてたのを邪魔するな」

「やるなら、外でやれ。阿呆」

ちっと舌打ちして、後ろを向けばケントの後ろにシェフさんがいるのに気がついた。

慌てて服を引っ張って顔を寄せた。


「……ちょ、アンタ。地を出して良いのか!?」

「あー、斎藤か。幼少からの執事だから隠さなくても良い。つーか、バレてるだろうし」

「左様でございます」


……執事?

執事ってあの、執事だよね!?

乙女ゲームによく出てくる萌えキャラだ!!


『お嬢様、忘れ物ですよ』

『ありがとー』

『ほら、鞄を忘れてはいけません。……まったく、私がいないとダメですね』

『良いもん!アンタはずーっと私のしもべでしょ?ずーっと私の面倒を見れば大丈夫!』

『……はは。今の言葉を忘れないでくれると良いんですけど』

『む?』

『冗談ですよ』


だめだ。

執事と聞いただけで萌えシチュが涌き出てくる。


興奮して倒れそう。


「何だ。阿呆面晒して」

「うっせ。……折角、妄想に浸ってたのに」

ケントは鼻で笑うと私の横をすっと通って、胴の長い車に乗った。


「え、アンタ……車で行くのか?」

「悪いか?まあ、関係ねーよな。どうぞ妄想に浸っててください」

意地の悪い笑顔を見せて、ケントはヒラヒラと手を振る。

くそう、腹が立つ。

私が行き方を知らないのを理解して、この態度か。


素直に送ってやるって言ってきたら乗ってやったのに……。


「何だよ、ばーか。乗らなくても一人で行けるし」

「ふーん、あっそ」

「それでは」

斎藤さんは運転席に乗ると、そのまま車を発車させてしまった。

あっれ、本気で置いてくの?

冗談かと思ったのに……いやいや、アイツに弱味を握られてたまるもんか!


力強く一歩を踏み出して、車が曲がっていった方向に歩き出した。