オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

これほどまでに緊張した食事はない。

今まで、どれ程楽な食事をしてきたか実感する。


そう言えばケントは母親がいなくなるまでは、あの食事を毎日していたのだろう。

私がケントの家の食事に合わなかったように、ケントとも私の家の食事が合わなかったはずだ。


我慢させていたのだろうか。


「はーあ」

自室として与えられた部屋に戻ると、大きく息を吐いた。

ソファに埋もれて、天井を仰ぐ。


こんな家に住んでる人が2LDKの一室に、シェアハウスなんて耐えられなかっただろう。

しかも性格は歪んでいるから、尚更。

でも、それを一切感じなかった。


ケントが大人なのか。

子供な私が気付かなかっただけなのか。


どちらにしろ、ケントが良い思いをしてなかったのは変わりない。

私が、私がと言ってたあの頃の自分が恥ずかしくなった。


「何敷けた面してんだ。阿呆」

「なっ!いつの間に入ってきてる!!」

「ちゃんとノックしたけど。それすら気付かないのはお前だろ」

ナーバスになりすぎて、周りの音が聞こえなかったのか。


「……そっか。ごめん」

何だよ。気持ち悪ぃ、謝んなよ。

いつもみたいに罵ってくれれば、スッキリすると思った。

何だよ、謝ったのに……とぼやけば、元の気持ちに戻れると思った。


なのに。


「気にすんなよ」

学校の女の子に見せるような優しい笑顔で、頭を撫でるなんて。

拍子抜けした。


「お前だって良いとこあるんだからよ。えーっと、例えばだな…………うん、あれだ。あれ」

「一個くらいあげろよ」

「よく見ればブスじゃないかもしれないかもしれない」

「ブス前提か。しかも、あやふや過ぎるだろ」

何だ、ケントに悪いことをしたと気を張ってた私がバカみたい。

この男なら何でも平気だったのかも。

私の考えすぎか。

そう思えば、ふつふつと笑いが込み上げてきた。


「ふふっ」

「ふっ。お前はそれが一番だ」

もう一度緩やかに頭を撫でるケントは安堵したような表情で、私を見ていた。

ねえ、もしかして。

もしかして、もしかして。


「今。私を慰めたの?」

はぁ?んな訳ねーだろ。気紛れだよ。気紛れ。と、私の頭を何度も叩いてきて。

止めろよ、これ以上バカにさせる気か!と怒鳴れば、バカの自覚はあったのか、と返ってくる。


と、思ってたのに。


「……だったら悪ぃかよ」