オタクな私にリア充の兄が出来た件wwww

鈴木くんのシャツの裾を引いて、耳打ちをする。


「私達って、何の担当ですか?」

鈴木くんは目を丸くしてから、ふっと笑った。


前みたいにほとんど目を合わせてくれないけれど、部活に入ってからはよく笑顔を見せてくれた。

だから、“嫌われていない”んだって、自分に良い方向に捉えている。


「先程の説明にあったように、僕らB組は二階教室の装飾担当ですよ」


二階教室担当ってことは、居残り確定じゃないか。

居残りはまだ譲歩して許せたとしても、学校でケントと話さなくてはならないってのが心底許せない。


何か私の秘密を暴露されても困るし、口止めしようにも絶交しているし……ああああああああ。


項垂れて頭を抱えていると、鈴木くんが「あっ」と小さく呟いた。

「どうしたんですか?」

「気のせいかもしれませんけど、委員長が見てましたよ。怖い目で」

恐らく、じゃなくて絶対に気のせいじゃないけど。

学校では他人のフリをすると言ったクセに裏切りやがって。


「……っあー。もの凄く体調が優れないのですが、保健室言っても良いですかね」

ケントと同じ空間にいる位なら仮病でも何でも使ってやる。

わざとらしくお腹を押さえて、眉間にシワを寄せたら、鈴木くんは心配そうに眉を下げた。

「だっ、大丈夫ですか?保健室に連れていきますよ?」

鈴木くんは、本当に優しい。

でも、ついて来られたりしたら、途中で仮病がバレてしまうかもしれない。


「大丈夫です。一人で行けまs「話は数分で終わるのでその後に、保健室に行ったらどうですか」

私の言葉を遮るように、被せてきたのは、顔を見ずとも分かる。

ケントだ。

きっと、冷酷な営業スマイルを振り撒いてるに違いない。


私が逆らえる、はずがない。


「……はい」


ケントと話した事で青ざめた顔をする私が、本当に体調が優れないと思った鈴木くんはオロオロしていた。

大丈夫。この男は私の仮病を分かった上で言っているんだから。


「では、二階教室は変則的に三年のA組B組と、二年のB組の六人で作業をしますので、お互い顔を覚えてください」

視聴覚室には、私と鈴木くんとケントを含めて四人の三年生が残っていた。

チラリと横の列に座る、三年生方に視線をズラすと向こうも私達を見ていた。


お互いに、申し訳程度に会釈をする。


「作業の日程に関しては、先程配布したプリントを見てください。それでは、解散です」

ケントが微笑むと、三年生の女子が顔を赤くしてきゃあっと喜んでいた。

何だ。あの女もケントの上っ面を好きなのか。

何が楽しくて、あんな嘘つきな顔を好きになるんだか分からない。


どこか、モヤモヤした気持ちがお腹の中で充満した。


次々と視聴覚室を出ていく三年生の後ろ姿を眺めながら、筆記用具などをまとめていると、鈴木くんが背中を擦ってくれた。


「だっ、大丈夫ですか……星野さん、話の途中に苦しそうな顔をしてました」

「ありがとう、ございます」

鈴木くんの方が真っ赤で苦しそうな顔をしてますけど、という言葉は飲み込んだ。

優しい配慮をしてくれるのだ。

そんな言葉は野暮だろう。