な、なんだろう…。
この人、どっかで見たことあるような気がするんだけど…。
き、気のせいかな?
「いつまで地面に座ってるつもり?早く立ちなよ」
そう言って彼は私に手を差し伸べた。
「あ、ありがとう、ございます」
スッと私を起こした瞬間、目がバチッと合った。
…やっぱり、この人、知ってる気がする。
なんだろう、この感じ。
胸の奥がムズムズして、ちょっと懐かしいような、この感じ。
「いい加減思い出した?チヨ」
そう言われた瞬間、私の鼓動は一気に速まった。
「っ⁉︎あ、あんた、もしかしてっ‼︎」
私の事を“チヨ”と呼ぶのは、きっと、姉ちゃん以外に、1人しかいない。
「し、シュン⁉︎」
「うん、久しぶり」
声を張り上げた私に対して、ソイツはそう言って、少しだけ笑った気がした。

