「はぁ、やっぱ馬鹿だねチヨは」
シュンは盛大にため息をつき、呆れたように私を見た。
ば、馬鹿ぁあ⁉︎
「俺さっき言ったじゃん。誰でもいい人だっているんだって。俺はちょっと心配だよ、チヨがそーゆー奴に持っていかれそうで」
「な、なにそれ」
「いくら馬鹿なチヨでも、そこんとこ、分かっといて」
「……はい」
怒られた。
シュンに怒られた。
でも、嬉しい。なんか、すごい嬉しい。
私の事、心配してくれてるんだよね?
無表情で、めちゃくちゃSなシュンだけど、やっぱり昔と変わらず私の事をすごい心配してくれる。
それがなんだか嬉しくて、涙が出そうになった。
「私の事好きになってくれる人、いつかは現れるかな?」
「案外、その辺にいるんじゃない?」
「フッ、かもね」
相変わらず、シュンといると変に緊張する時とかあって疲れるけど、でも、それが心地良いと思うようになった自分がいる事に、私は気付き始めた。
「帰る?」
「そうだね、帰ったら姉ちゃんにお土産話してやろ〜っと」
「サーヤも行きたかったって言うだろうね、きっと」
いつもの会話、いつもの調子。
私は自分の頰が赤くなってるのにも、胸がなぜか高鳴るのにも気付かずに、シュンと2人家に帰って行った。