それから何分かたってヒデくんは「じゃあ今日はこの家泊まってくわー。明日学校午後からだしー」と言ってシュンの部屋を出て行った。
遊園地、かぁ。
なんかすごく久しぶりな気がする。
遊園地に行くのも、シュンと何処かに行くのも。
「来週の日曜日だって」
「日曜日?シュン予定入ってない?」
「うん。大丈夫」
「そっか。楽しみだね!」
「うん」
シュンは笑ってる。
やっぱり、私はシュンの笑顔が好きだ。
だって、ものすごく優しいんだもん。
すごく儚いものを大切そうにするような、そんな瞳をして笑うんだもの。
しかも、そんな笑うの、きっと私の前でだけなんだよ。
私がシュンの笑顔を独り占めしちゃってるんだよ、きっと。
「私、シュンの笑った顔好きだなぁ」
「どうしたの急に」
「なんでもな〜い」
私は嬉しくなってまたベッドに顔を埋めこんだ。
「(仮にもここ、男の部屋って分かってんのかな)…はぁ」
「ため息⁇幸せ逃げちゃうよ?」
「もう家に戻ったら?このままだと俺のベッドで寝ちゃうでしょ、チヨ」
シュンは私の頭を撫でながらそう言った。
それが気持ち良くて私は目を細めた。
「もうここで寝ちゃおうかな〜」
眠いし。このままだと本当に寝れそう。
「チヨ、それどういう意味か分かって言ってるの?」
「ん〜?なにがー?」
ダメだ。眠い。
シュンに頭を撫でられるとものすごく眠たくなるらしい。
私の瞼はどんどん重たくなっていき、とうとう私は完全に眠りについてしまった。
「ちょ、マジで寝てるのチヨ?……ホント、こういう事するの俺だけにしといてよね」
そう言って私に毛布をかけたシュンを私は知らない。
深い眠りの中、昔のシュンと私が出てくる夢を見た。
たまに口喧嘩もするけど、それも含めて昔の2人に戻りつつあるのが、私にとっての小さな幸せのような気がした。