「俺たち駅前のクレープ食いに行くけど、寺田と俊太も行くか?」
「私はいいや」
「俺も」
「そっかー。じゃ、また明日な〜。おら、行くぞモモ」
「うぃー。じゃね、千代華!片山も、また明日っ」
「はーい。またね〜」
私がそう挨拶するとすぐにモンちゃんと森岡は教室を出てった。
「じゃ、帰ろうか。チヨ」
「はぃ?」
私が聞き返したのも気がずにシュンは教室を出ようと歩き出した。
ど、どういう事ですか⁇
帰るって、一緒に?
いや、でもただ単に私に報告しただけかもしんないし…。
ど、どっちですか…。
とりあえず私は先に歩き出したシュンについて行く事にした。
「ねえ、なんでそんな後ろを歩くの」
「え⁉︎…そ、そうかなぁ〜?」
「隣来なよ」
「はい…」
やっぱ一緒に帰るのか。
というか、なんだこの空気。
はあ。やっぱりなんかシュンといると疲れる。
昨日8年振りに再開してから、思う事がある。
シュンは私の事嫌いなの?ここ来る前に何があってそんなに変わっちゃったの?
聞きたい。ものすんごく聞きたい。
けど、私にそんな勇気があるはずもない。
「今日、楽しかった?」
「…へ?」
「学校、楽しかった?」
い、いきなりなに⁇
「楽しかったけど…。し、シュンは?」
「うん。楽しかった」
そう言ったシュンの顔は笑っていた。
私は8年振りに会って、初めてシュンの笑顔を見たかもしれない。
なんだよ。
こんなに、笑えんのか。
「どうかした?」
「な、なんでもない!」
ヤバイ。ニヤけがとまらん。
見ちゃったよ。シュンの笑った顔見ちゃったよ。
だめだな私。多分すごい期待してる。
こんな笑顔見せるの、きっと私だけだ、なんて思っちゃってるよ。
でも、でも!
そりゃ、自惚れるよ。
そんな顔されたら。
私は心の中で「これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。