雪の夜




「無理だよ……私にケイは殺せない」



精一杯頭から絞り出した言葉は、それしか出てこなかった。

蚊の泣くような声で呟く。





「シズク?冗談だよ、どうした?」



「私はもう、誰も」


目から水滴がポタポタと落ちた。

そのあとに続く言葉を言いかけて、
ぐっと飲み込む。


私が言っていいような言葉じゃない

私はもう底無し沼に沈みすぎた

 




「どうしたんだよ?シズク?」




「何でもない、ごめん」