雪の夜



「親の連絡先は?」


男性の眼差しからしても、簡単に逃れさせてはくれなさそうだ。


だけど、ここであそこに迷惑はかけられない。
そういう掟なのだ。




「親は、いない」


本当のことだ。嘘はついてない。



男性はその言葉を聞くと、
何か辛いことを思い出させたと思ったのか、すまないと謝ってきた。




「なんで謝るの?いいよ、べつに」



「じゃ、じゃあ保護者代わりの人は?
いるだろう?」




少女はじっと男性を見つめた。


男性は何を言っていいのか分からくなったようで、ぽりぽりと頭を掻いた。