雪の夜




整髪料の香りが微かに鼻を掠めた。




「お前はその飲食店で今も働いているのか?」




「んー、多分ね。
そこでしか働けないから」






「どうしてそんなところで…」

あなたは私の目を見つめる。


「そこの店長に拾われたから」



「拾われた?」



「うん。私捨てられてたの。
私が倒れていたゴミの山と同じようなところで。まだ赤ん坊だったから記憶は無いけど」



あなたは驚いた顔をしていたね


でも、あなたが世間を知らなさすぎなんだよ

温かい世界とは違う、
冷たい氷のような世界を知らないでしょう?