雪の夜




彼は新聞を読み始めた。

会社に行く前に必ず読むらしい


「なー、シズク」


彼は新聞から目を離さずに、私に話しかけた。



「お前が倒れてたあの日、何があったか少しでいいから教えてくれないか?
俺が仕事から帰ってからでいいからさ」



きっとずっと前から、その話を切りだそうとしてたんだね






「いいよ。別に今でもいいけど」


私がそう言うと、彼は勢いよく新聞から目を離した。



「え、いいの!?」





「うん、別にいいよ」





私は彼の膝の上に座って、ネクタイを結び直す。