雪の夜




背中も流してもらっているとき、一瞬だけ

あなたは動きが止まった。





「どうしたの?」

白々しく私は聞いたけど、本当は分かってたんだ。


腕に入ってるタトゥーにあなたの目がいってたことを。


あのバーに出入りする、人殺しは皆
このタトゥーを体のどこかしらにいれる。

青い薔薇に包まれる髑髏のタトゥー。



「いいや、なんでもない」


あなたは私にそう言って、また背中を流してくれた。





あの時、あなたが私に聞かなかったのは

どうしてかなんて
今はもう分からない。