背中も流してもらっているとき、一瞬だけ あなたは動きが止まった。 「どうしたの?」 白々しく私は聞いたけど、本当は分かってたんだ。 腕に入ってるタトゥーにあなたの目がいってたことを。 あのバーに出入りする、人殺しは皆 このタトゥーを体のどこかしらにいれる。 青い薔薇に包まれる髑髏のタトゥー。 「いいや、なんでもない」 あなたは私にそう言って、また背中を流してくれた。 あの時、あなたが私に聞かなかったのは どうしてかなんて 今はもう分からない。