雪の夜



「言い訳だな。そんなもの聞きたくないね」

そして、どこから出してきたのか、拳銃をわたしの頭に突きつける。
 

店長はニヤリと笑った。




「だが、お前の腕は惜しい」




カチャッと音が鳴った。





「非常にな。だが、掟だ。
殺しに失敗した場合、制裁が下ると」




「ああ。別に殺したきゃ殺せ」




私の言葉を聞くと、店長は笑い出した。

そして拳銃を下ろす。





「殺しがいがない、女だな。
今、仕事は無いよ。仕事が欲しけりゃまたおいで。それまでには怪我を治しておけ」



「うん。コーヒーありがとう」




そう言って、出ようとした時、店長に呼び止められた。



「殺されないようにせいぜい気をつけな。この世界を舐めないほうがいい。育ての親からの忠告だ」

そして、何かが投げられた。



「護身用の銃だ。丸腰じゃ、いくらお前でも殺られるのは目に見えてる」




小型の銃の重みが手に心地よい。


やはりこの重みと、鉄の冷たさが

自分が生きていることを実感させてくれる。




「ありがとう」


そう言うって、バーのドアを押した。