「彼を私のものにしたいの」
真鍋がうっとりとしたような口調になる。
「彼って素敵じゃない?」
何か言おうとしたが、別に私に意見を求めているわけではないようで、口を挟む前にまた言葉を続ける。
「彼の瞳に映るのは、私だけにしてほしいの。他の誰も映してほしくない。私に夢中になってほしいの、何もかも忘れてしまうくらい」
思い出した!
どこかで会ったような気がしていたけど
路上でケイとキスしていた女性だ。
「あの、彼とは……」
「あなたをダシにして、付き合おうとしたけど、駄目だったの」
さっきとは打って変わって、冷たい声になる。

