雪の夜



「何か飲むかい?」


「いや、いい。
毒を盛られちゃかなわないから」



私がそう言うと、店長は笑った。




「随分と警戒されてるようだ」



「嘘だよ、喉が乾いてないだけ」




店長は私の姿を見ると、グラスを拭き始めた。



「派手にやられたな」




「まあね」




私のせいじゃねえと反論したくなるが、ぐっとこらえる。



「それで?なぜここに来た?
まさか殺されに来たわけじゃないだろう」




「仕事を貰いに来た」




私の言葉に、店長はちらりとこちらを見る。




「一度失敗した奴に仕事があると?」



その目は氷のように冷たい。