雪の夜





「良かった………」



私がポツリと呟くと、彼は不思議そうに首をかしげた。




「そんなに急いで来なくても良かったのに」



彼はハンカチを取り出すと、私の顔をポンポンと拭きだす。


「汗がすごいぞ、どうした?」





「あ、ちょっと寝坊…」



ありがとう、と彼の手をゆっくりと掴んで
テーブルへ置く。



「ごめん、約束の時間、3時だったよね」



「いや、いいよ。勝手に俺が決めたようなもんだし」





彼は一緒に暮らしてた頃と同じような優しい声でそう言った。



そして、ウエイトレスを呼んでくれた。





「俺は先にコーヒー頼んじゃったんだけど、シズクは?何飲む?ココアで良い?」




アイスコーヒーを頼もうとしていたけど、


彼の声に、うんと頷いてしまう。




「じゃあ、アイスココア一つ」


ウエイトレスに爽やかな笑顔でそう注文した。