雪の夜



まだところどころ、顔にも痣が残っているが大した傷じゃない。



ゆっくりゆっくりあのバーへ向かう。




地下へと続く階段へも、手すりにしがみつきながら、ゆっくりと下る。



コツ、コツと響く自分の足音はまるで

何かのカウントダウンに聞こえた。




ドアを開けると、カランコロンと音が鳴る。



「まだ開店じゃないよ」


店長がそう言って、私を見た。



「生きていたか、アビー」


にやっと冷たい目を細めて、私を見つめる。


ああ、やっぱりここが私の居場所だ。



あの澄んだ瞳じゃない。