雪の夜



「お前の保護者のことだけど」



「だから、保護者はいないって」



「保護者代わりの人だけど」



私の訂正にも、気を悪くすることなく

突っ込んでくる。




「連絡先はどうしても教える気は無いみたいだから、あえて聞かない。
でも、お前からは何か連絡しておきさい」




「どうして?」



「どうしてって…
急にお前がいなくなったら、心配なさるだろう!
それに、こんな怪我も負ってるし!」



シズクの中で、ふつふつと笑いがこみ上げてきた。


あの人が心配?


ありえない。



「あー、大丈夫。心配とかしないし」



「それはお前の勝手な憶測だろう」



この人は本当に世間を知らない。



「大丈夫だって。
死んだって、何も思わないよ。
それに、この怪我も多分知ってるだろうね」


ほら、困り顔。

別にあなたを困らしたいわけじゃない。

でも、これが現実なんだよ

そういう世界だってあるんだよ



「でも、保護者代わりなんだろう?」

                                                                    
「まあね。でも、本当に大丈夫」




放任主義だし

3,4 ヶ月帰らなくたって、大丈夫なんだからこれぐらい大丈夫に決まってる



でも、そう言うと

あなたはまた混乱しそうだから



あえて言わなかった