雪の夜






「昔さあ、クロと会ったとき」




「待て、昔話始める気か?」



クロの不愉快そうな声が暗闇の中で響く




「そうだけど、なに?」



私が堂々と言うと、ため息が聞こえてきた




「お前が昔話なんて。何があった?そんなに寂しいのか?」




「失礼しちゃう。別におかしいことじゃないでしょ」



でも、確かに昔話は嫌いだ


昔のことなんて思いだしても、虚しくなるだけだ



この世界からは抜けられない




だけど、あの人に出会って
一時でも幸せを感じて
懐かしくなってしまったのかもしれない



身体が、心が


ぬくもりを欲してしまったのかもしれない