「ハニートラップなんて成功するかしら」
「するさ。今のお前なら」
普段は絶対言わないことをサラッと言った、クロの横顔を凝視する。
「なんだよ。俺に惚れんなよ」
「惚れないわ、絶対」
「絶対ってなんだよ」
そんな言い合いをしていたとき、会場が暗くなった。
「この度は花木貿易株式会社の創立65周年記念パーティーにお越しいただき誠にありがとうございます……………」
司会者が決まり文句を述べる。
「では、花木貿易株式会社、代表取締役社長 花木周三による来賓の皆様への挨拶をさせていただきます」
「ターゲットのお出ましだ」
ピューっとクロの吹いた口笛は、参加者達の拍手でかき消された。

