彼のアパートを出てからは、
いろいろな街を転々とし
行方をくらましていた。
「あんたは別に来なくてよかったのに」
クロもなぜかくっついて、一緒に行動していたのだ。
「店長に頼まれたんだから、しゃあねえだろ」
「頼まれた?」
「ああ。アビーについてやってくれってな。なんだかんだでお前の事心配してるよな」
「そんなわけないでしょ」
私はあの氷のような冷たい目を思い出した。
「というか、そのマフラーどうしたんだ?しない主義じゃなかったの?」
首元に巻かれているマフラーを、クロが怪訝そうに見つめてきた。