雪の夜




「シズク。何故あそこで倒れていた?」



男性は探るような目でシズクを見ていた。



「ちょっと転んだだけだよ」


この言い訳にはかなり無理があると、自分でも思ったが、本当のことは言えないから仕方ない。


だが、当然男性は信じなかったようで
ますます疑う視線を強めた。




「転んで、この傷はないだろう。
誰かに殴られたような痕もある」



なかなか、この男性は手強い。



「本当のことを言ってくれ」