「でも隠し通すのがすごく難しかった。
ま、何とか乗り越えて卒業したけど」
「そうなんですね…」
「もしお互いが本気で好きなら…どんなことがあっても乗り越えられると思うぜ」
お互いが本気で好きなら……か。
僕は好きでも小鳥遊さんは何とも思っていないだろう。
「頑張れよ、兄ちゃん!」
「あ、ありがとうございます!」
さっき作ってもらったカクテルを飲み干す。
酸っぱいけれど、最後に甘みがくるような味だった。
「ごちそうさまです」
「おお、また来な!」
店を出て、駅までの道を歩く。
阿久津くんに取られるなんて嫌だなぁ。
本当なら生徒が恋敵とかあり得ないけど…。
いつか伝えられるかな……。
「好き」だと。

