はっとして、振り向く。そこには…
 泣きすぎて張らしたであろう真っ赤な目の少女が私を見詰めていた。

 「おねぇちゃん、だぁれ?」
 「…っ!!」私は、その子の質問に答えられなかった。
 『それどころでは無かった』と言った方が正しいのかも知れない。
 何故ならその子は、幼い頃の私の顔に そっくり…いや、瓜二つだったから。
 「ねぇ、だぁれ?」
 ギリッ…少女が握った私の腕が軋む。少女は、幼子とは思えない怪力で私の腕を握っていた。
 「い…た…っ!!」
 「もしかして、あおを閉じ込めたひと?」
 「え…!?」
 あ…お?それって…
 そういえば、私は小さな頃、自分のことを『あお』と呼んでいた…。
 「ねぇ、おねぇちゃん、此処から出してよ」
 少女の血走った目が私を見詰める。
 「ねぇ…」
 ずいっと、少女の顔が私の顔に近付いた。