真っ暗な部屋に、私は居た。
 手を伸ばしても、空を掻くだけ。
 上も下も分からない。個々は、何処?
 「…っ」
 ?
 何か聞こえる。これは…泣き声?
 「…っ…ぇーん…えーん」
 段々大きくなる。近付いてる?
 でも、一体誰が泣いてるの…?
 「えーん…うぇーん…」
  え…待って…これ、私の声…
 でも、少しつたないし、高い。そう、まるで私の幼い頃の声。
 「えーん…酷いよぉ…暗いよぉ…怖いよぉ…誰かぁ…」
 なん…で?
 私は数歩、後退りした。ひたっ…と、私の足音が響く。
 ふと、泣き声が止んだ。
 「そこに、誰かいるの?」
 「え…」
 幼い頃の私にとても似ている声が、私を見つけた。
 「ねぇ!!誰かいるの!?ねぇ!!」
 ひたっひたっひたっ
 徐々に足音が近付いてくる。その速度は 歩くよりも速く、走って来ているのが分かる。
 音が色んな所から聞こえてくるので、何処からあの子が走って来ているのか分からない。何処…?何処?
 ガシッと腕を掴まれた。後ろ!!