ふぅ…と息を吐く(つく)。
 さて、帰ろう…。
 「東雲さん!!」
 ピタッと足を止める。そして、はぁ…とため息。
 「何?」
 話しかけて来たのは、川上さん。
 毎回毎回、よくもまぁ、飽きないものだ。
 「あのね!!駅前に、新しいケーキ屋さんができたんだって!!それでね…」
 「無理。今日、用事あるから」
 
 一緒に行こう。
 その言葉が出る前に断る。時間の無駄だ。早く帰らないと、お母さんに迷惑がかかってしまう。

 「そ、そっか…ごめんね!!無理に誘って…」
 へらへらと眉を下げながら笑う川上さん。その後ろでちらちらとクラスの女子の視線が飛んでくる。

 「それじゃ」
 ぱっと教室を出た。途端、ぎゃーぎゃーとした女子の声が廊下にまで響いてきた…と思ったら、ドンッと、何かが物にぶつかる音がした。

 「…」
 はぁ…と息を吐き、私は教室に戻る。