『キーンコーンカーンコーン』
 帰りのホームルームの鐘が鳴る。

 さあ帰ろうと、さっさと荷物を鞄に詰め込んでいると、不意にケータイが振動した。

 校内ではマナーモードが義務付けられているから、その振動だろう。

 ケータイを取り出して見てみると、メールが一通来ていた。

 (お母さんからだ)
 開いて読む。

 『あおちゃん
 学校お疲れ様。あのね、今日大切な用事があるから、帰りは寄り道せずに、真っ直ぐ帰ってきてね。
 お母さんより』

 (…お母さん、今日休みなんだ)
 それならそうと言ってほしい。
 どうして言ってくれないんだろう…。

 (大切な…用事…)
 思い当たることは無かった。
 今朝もお母さんには会わずに学校へ行ったし、置き手紙も無かった。

 (それなら、私には関係ないか…)
 きっと、お母さんのお店の職員などが来るから、来る前に帰ってこいと行ってるんだろう。