ラピスラズリ

 今朝、お父さんと一緒に歩いていた子だ。

 …しかし、気付いたからといって、何にもならなかった。
 この件に対する興味は、朝の時点で無くしていたからだ。

 徐に声を掛けてみる。
 「ねぇ」
 「うわぁっ!?」
 男の子はそうとう驚いた様で、肩を跳び跳ねさせていた。
 しかし、直ぐに気を取り直したのか、にっこりと笑う。
 「ご、ごめんね。先客が居るなんて気付かなくて」
 そういうのはどうでもいい。
 私は、せっかくの疑問解消者を見付けたので、役目を果たしてもらうとする。
 「あなたには、この世界、何色に見える?」
 「っ!?」
 男の子は目を見開き、私を凝視する。
 暫くそうやって私を穴が開くほど見詰めていたが、ふっと表情を緩めた。
 「そ、そうだな…。俺にはこの世界の色は分からないよ。でもね…」
 すっと人差し指で空を指して続ける。
 「この空は青いし、あの雲は白いし、風は、夏特有の色を持っていると思うよ。これら一つ一つがあって、世界の色なんじゃないかな」
 …そう…なのか。
 ぽつっと疑問がまた浮かぶ。
 …この人にとっての青って何色?白は?
 分からないことが沢山沸いてくる。でも…
 「そう…」