昔から、独りだった。

 父は仕事の関係で全国を回っており、お盆や正月くらいしか帰ってこない。

 母も仕事をしており、帰ってくるのは深夜で、ほとんど会わない。

 なので、独り。

 私、東雲 葵花(しののめ あおか)は、そんな日々を過ごしていた。

 笑っても、泣いても、喚いても独り。

 だから、それらは意味が無いものだと、幼い頃の私は思っていた。

 そしていつしか…、感情というものを私の中に閉じ込めた。

 「お前は要らない」そう言って、鍵を閉めた。

 「無愛想だ」「何を考えているのか分からない」
 人々はそう言う。
 でも、私が笑ったことで何が変わるの?
 愛想が良いと、可愛らしい子と、褒め称える?

 そんなの、要らない。
 だから皆、私に関わらないで。

 そして私は、今日も独り。