「じゃ、始めますか」
リーダーらしき男の人がラジカセのスイッチを押すと軽快なリズムが流れ、彼らは華麗に躍り出す。
照明なんてない。
頼りない街頭と月明かりを頼りに躍るストリートダンサーだ。


チョ〜、カッコいい!!


こんな小さな町に、こんなにカッコよくダンスを踊れる人がいるなんて…幸せ。


「ストップストップ! ダメ、ワンテンポずれてるよ。タクはOKだけど、翔がズレるなぁ、どうしても」
「shin-yaが上手すぎんだよ」
「でもこれクリアしねぇと。LAスタイルとNYスタイルの融合、目指してんだからさ」

そんな彼らの様子を眺めながら、私は彼らに見つからないように、木陰で一人、彼らのダンスを一心不乱に真似をする。

盗んでいるといったほうが近いかもしれない。

「ちょっと休憩な。ジュース買ってくる」